襲来、そして

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「どうどうー?」 「すげー美味いです!お姉さん料理上手なんですね」 「えへへー」 「2,3年前までやばかったけどな」 「余計なこと言うな」 桜と敬吾の間で台拭きが応酬される。 逸が微笑ましく眺めると、桜の興味はまた逸に戻った。 「お代わりいっぱいあるからねー」 「あっはい」 「ついでに敬吾も」 「はいはい」 「あ、そう言えばさー冷蔵庫の中のあの瓶なに?卵の隣にあるやつ」 「ああーー」 口を開いたのは、逸。 「ニラとかにんにく刻んでごま油と甘酢に漬けてるんですよ」 敬吾は呆れた顔をし、桜はきょとんと瞬いた。 「……?いっちゃん作ったの?」 「あッ、」 「………大量に出来たからってお裾分けしてもらったの。」 「ああ、なんだー」 淡々とした敬吾のフォローに、やはり素直に信じた桜は頷いた。 敬吾は堂々たる落ち着きぶりでポテトサラダを食べている。 「いっちゃんも料理するんだ!」 「あっはい、結構好きです……」 逸はどうにか笑っているが内心心臓が爆発しそうだった。 背中に嫌な汗が浮く。 「ちょっと食べてみてもいいー?」 敬吾が頷くと、桜は軽やかに台所へと駆けていく。 その間逸は敬吾の表情を伺うがーー ーー無論機嫌良さそうでは決してなく、かと言って怒っているようでもない。 気難しそうな、どこか思慮深いその横顔は他者の介入を拒んでいるような気がして、逸は少し、この場に二人きりでないことに感謝した。
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