6813人が本棚に入れています
本棚に追加
敬吾は心底訝しげに眉根を寄せるが、逸は名探偵もかくやという顔をしていた。
「いや……俺加減してたんですよ、敬吾さん良すぎるの嫌いだし泣いちゃうから」
「うっ、うるさい……」
「でもなんか……」
「いや、待てって話がつながんない……何言ってんの?」
「……?ーーああ、」
逸はそこでやっと思い至った。
敬吾にそもそも知識がないのか。
「そっか、すみません。えーと、だから……」
逸の声が急に遠慮気味になる。
「……こっちは触んないで、イッてみませんか?という」
逸の指が敬吾の中心に控えめに触れた。
それでもまだ敬吾は分からなかった。
あまりにも分からなくて、触れられた感覚も鈍いほど。
「………?そんなのあんの?つーか、何の意味があんの」
「意味って……またそんな冷たいことを……」
「いやそうじゃなくて、単純に不思議なんだよ……なんつーか、お前メインだと思ってた、っていうか……?」
「んー……?あー……」
敬吾はうまく説明できなかったと思っていたが、逸は敬吾が予想するよりも大分確実にその意味を捉えていた。
やや時間はかかったが。
「……なるほど。いや、確かに今のとこ気持ちいいのはほとんど俺なんですけども」
探り探りそこまで口にしたあたりで、逸の脳裏に流れ星のような閃きが走った。
「ーーああ!だから……そっか、」
「?なに」
「いや、あのね敬吾さん……」
最初のコメントを投稿しよう!