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「う…?うん………?」
敬吾が戸惑っている間に、逸がその唇を塞ぐ。
曖昧に閉じられた唇を小さく舐められると敬吾の目が細まった。
自分でそれが分かるほど、スイッチが切り替わったように頭の中が逸一色になる。
横たえられ、ズボンの前を開けられて、パーカーの間からシャツを首までたくし上げられても疑問すら抱きもしなかった。
「っあ………」
胸を這う唇がその先端を含むともう思考回路は機能不全を起こし始める。
愛撫を施しながら下がっていく手が下着の中に入り、全体を柔らかく揉まれて敬吾が背中を撓らせた。
浮いた腰を掻き寄せるように逸がそこに顔を埋める。
いやらしく舐め、吸われ続けて抵抗の間もなく敬吾は逸の口の中に吐き出した。
幾度か喉を鳴らしながら拭き取るようにそこを舐め上げている逸を見下ろし、敬吾は複雑な気分を味わっていた。
あんなにもーー自分以上にーー自分の体を掌握する逸にこうして大人しい奉仕を施されると、不安と言うかーー何か疑問が残るような、不思議な感覚だ。
ぼんやりと眺めていると、それに気づいた逸が噴き出すように小さく笑う。
「敬吾さん……、どうしたんですか?」
「へっ?」
「そんな目で見てたら襲っちゃいますよ?」
「………………」
困ったような、しかし少し獰猛な表情で敬吾に伸し掛かって見下ろし、逸は自分のバックルに手を掛けた。
敬吾が起き上がろうとすると、肩を押し留められる。
「?」
「敬吾さん、今日は……手、貸してください」
「………………?」
やはり不思議そうに首を傾げる敬吾を、逸は愛おしそうに見下ろしていた。
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