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「ーーああ、垂れちゃった……」
敬吾の腹に自分の精液が垂れるのを眺め、その膝がもどかしく内側に寄るのも眺め、小さく笑いながら逸が言う。
逸の手がティッシュの箱に伸びる間、敬吾は自分の手の平をそっと顔の方へ返した。
今日はこれが、少しも体の中に入っていない……。
ティッシュの箱を取り、逸が振り返ると敬吾がごく自然にその手を口元へ持っていくところだった。
「ーーけっ、敬吾さんーーー」
ぎょっとしたような逸の声に我に返った敬吾は、人差し指の関節を唇で食んだところでカチリと止まって瞬く。
そのまま首まで綺麗に赤くなり、あわあわと指を離したが糸が引いてしまった。
それとそれを舌で舐め取る敬吾を見て逸が崩れ落ちる。
「もっっ、もぉーーー………っ!」
「う………、っだ、だって……………」
乱暴に自分の手を拭うと、逸は怒っているようにも見える困り顔で敬吾の手を取った。
ーーそれをまた、妙に悲しそうな顔で敬吾が見る。
それを視界の端に見て、逸はじりついた溜め息をついた。
「……………。……敬吾さん?」
「…………………」
わざとらしい、粗相を窘めるような逸の声に敬吾はぐっと息を呑む。
ーーそうして、観念して泣き出しそうな子供のように眉根を寄せた。
「………………ぃ、入れたい……………、です。」
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