6784人が本棚に入れています
本棚に追加
「……………なんででしょうねー??」
「考察すんなっつうの」
ーー結局、敬吾が危惧した事態にはならなかった。
敬吾としては厄介なプレゼンでも滞りなくやり過ごしたような、安堵や達成感の類を感じていたのだが。
逸はーーなにも敬吾が嫌なことをするつもりはないがーー不思議なような、少し残念なような。
「……前ほど気持ち良くなかったですか?」
湯上がりの敬吾を膝の間から出してやらずに抱き締めて、そんなことを聞いたりなどしている。
「…………っそ、そういうわけじゃ……」
「んん…………」
「つ、つーか俺あれはあんまりって言ってるだろ!そう追及すんなっ」
「………そうですけどー」
今度は少し率直に残念そうな声を出し、逸は敬吾の肩に顎を乗せた。
のの字でも書くようにいじけた様子で腹を撫でられ、敬吾は少々警戒するような顔をする。
「……俺も敬吾さんが嫌なことをする気はないですよ?でも、怖くなるほど気持ちよかったってことですよね?」
「!!」
「だからね、俺もし敬吾さんが物足りなくなっちゃったらどうしようって……」
「なっ!無い無い!!!」
衝撃の発言に、敬吾は腹を抱きかかえられながらも大いに驚いて振り返り、手を振ってみせた。
「充分だから!充っっ分だから!!その向上心は別のとこにとっとけ!!!」
「……………なんつうか、あれですね嬉しいんですけどちょっと色気に欠けますね?」
最初のコメントを投稿しよう!