6783人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前っ、お前っ……!!!」
「え?えっ?」
痛みと一糸纏わぬ敬吾とに困惑しながら逸は半泣きでそれを見上げた。
堂々と立ちはだかっているくせに真っ赤な顔は、そのせいではなさそうだった。
「ご、ゴムつけなかったのか!昨日っ……」
急に蚊の飛ぶような声になって、敬吾は泣き出しそうな顔で言った。
ぽかりと口を開け、逸は考える。やたらと長い、数秒間。
「……えええええ!ごっごめごめんなさい!俺全部出したと思っ…………」
「はあ!?どういう意味だそれっ!!」
「すみませっ……いや、外に出すつもりだったんですほんとは!ほんとに!でっでもなんかすごくても、間に合わなくて」
「全部出したと思った、ってなんだよ!!?」
半ば分かっていて、その通りなら聞きたくないが、堪え切れずに敬吾は重ねて問い詰めた。
逸が自分の膝に顔を埋める。
「け、敬吾さん寝ちゃったあとに……、あのー中をこう……」
「黙れ」
「はい」
理不尽にも命じられて素直に従い、逸は敬吾が風呂場に戻る音を聞いた。
そしてその後もう一度戻ってきた敬吾から、後頭部に一撃貰った。
最初のコメントを投稿しよう!