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その後は敬吾も落ち着いてーーかどうかは不明だがーーシャワーを浴びたらしい。
逸はご機嫌伺いに朝食のおかずを増やす。
祖母がくれた肉味噌があって良かったと心から思った。
(やっちまった………)
シンクの縁に手を突いて、もう片手で逸はパンと自分の顔を叩いた。
そこで力尽きてしまって、顔の半分を隠したまま停止する。
ーー残っていたか。全部掻き出したと思っていたのだが……。
そうしたのは、失敗を隠そうとしたわけではなく。
翌朝自分の体から精液など垂れたなら、この恋人はきっといたく気分を害するだろうと思ったからだった、ついさっきのように。
分かってはいたしそれを防ごうと思いやりもしたが、少々ショックではある。
だがそれよりもあれはーーと逸は考えた。
昨夜の敬吾のことを。
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