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「……逸ー……、」
「うん?」
逸の肩にしなだれかかっていた敬吾が体を起こす。
それでも逸の腹に添うように撓っている腰が愛しくて、逸はそこを撫でながら敬吾を見上げた。
見返す敬吾の瞳が蕩けきり熱を孕んでいて、何も言わずとも察してやる。
もう自重を支えきれない体は、逸に背中を支えられていても溶け落ちるようにベッドに流れてしまった。
「んん………」
やっとベッドに背が付くと、安心したように逸に手を伸ばす。
敬吾にはもう他に何も見えていないことが伝わってきて逸の頬は勝手に弛んだ。
その腕の中に体を沈めると腕も脚も逸に絡みつく。
さっきまでは余裕を持って熱を制御していた箍が音を立てて外れ、逸は敬吾の腰を膝の上に引き上げて深く穿った。
敬吾がその快感について行けず驚愕したような声を漏らし、逸は出来る限りにおさえながら、それでも加速していく。
敬吾の喘ぎは悲痛だが溺れきっていた。
その声で何度も名前を呼ばれ、逸も我を忘れていく。が、敬吾の懇願が聞こえなくなることはない。
尽くして甘やかして溶かしきってしまいたい、と絶えず心の芯で考えていたーー。
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