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「だいじょーぶです、………」
無理に体を持ち上げようとする逸を、敬吾が慌てたようにベッドへと押し戻す。
それに簡単に負け、うつらうつらしている逸に敬吾は呆れた溜め息をついた。
「そんな甘やかさなくていいっつーの。これ双子相手にやったらダメな子に育つぞー」
「んん…………?」
やはり半分眠っている逸の頭を撫でくってやると、逸がその手を掴み敬吾を引き倒す。
またその腕の中に収めてしまうと逸は不機嫌そうに閉じたままの目を顰めた。
そうして、掠れきった声を漏らす。
「……おれがいなきゃ生活できないようになっちゃえばいーんです、敬吾さんなんか………」
「ーーーーーーー」
やはり眠りが足りないらしい逸は、敬吾の心臓にその胸を叩かれても睫毛ひとつ動かさなかった。
それから何度か寝息を紡いだ後にふと我に返ったように目を開き、宥めるように敬吾の頭を撫でる。
「ーーあ、朝飯……米からリゾット作りますから。だいじょーぶですよ………」
舌っ足らずにそう言って、逸はまた眠ってしまいーーー
ーーやはりどれだけ胸を叩かれても、しばらく起きなかった。
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