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「別に……いいよそれは。そんなもん、突っ込まれてる時点でこっちはもー大事件なんだよ。そっから派生しただけのもんくらいの衝撃度だよ」
「………そうなんですか?」
「ただそれをお前意識のない人間捕まえて証拠隠滅するとかどうなんだよ、それはぶち切れるわ」
「うう、はいすみません……でも隠そうと思ったわけじゃないんですよー!絶対嫌だろうなって思ってー!」
「裏目に出てんじゃねえか」
ぐうの音も出ない逸である。
「もう……全く……仰るとおりです………」
「つーか、なんならまだマシなくらいなんじゃねーの?普通に女の子だったら大問題だろ。それに比べたらすげーびっくりしたのとすげー恥ずかしかっただけだし。それは俺この上ないレベルで初心者なんだからしょーがねーだろ」
「ああ……そっか。俺その発想がないから」
「ああ、なるほどな。間違ってもすんなよ」
「絶対ありませんて」
「襲われるって線考えてねーな?」
「こっわい!!!」
敬吾が噴き出した。
逸も安心したように笑う。
「そもそもお前あんっだけゴリゴリに好き放題するくせに今更気に触ることしたくないとかなんとか。バカなのか」
「おっと……これは結構やらかしちゃってた感じですか?俺」
逸の笑顔が苦々しく縮みこむ。
「だって付き合う前とか凄かったじゃねーか。ああだから俺蹴ってたのか」
「んー、その頃はもう……なんつーかいわゆる失うものがない状態っつーか……今はもう、付き合ってもらえてるって負い目みたいなのと下手踏んで捨てられたくないってのが凄いですからね」
「でもそっちの方が俺からすると楽だったぞ。そこそこのうちはしっぽ振ってる犬みてーで可愛いし、やり過ぎればこっちも好きなくらいやり返せるし。気ぃ使われすぎると変に悪者になってる気がする」
「なるほど……」
一通り食べ終えて味噌汁を飲んでいる敬吾を見つめて、逸はぼんやりと考えた。
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