TrashWorks

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「ーー本っ当少女趣味なんですよ、僕」 その言葉通り、彼の小さな手に包まれたカップには柔らかい香りのするオレンジ色のお茶が満ちていてーーまたも一新した彼の髪の毛と同じ色をしていた。 ーーそうして栗屋は「気持ち悪いくらい」と続け、そう言ったときの表情は、彼が見せた唯一の暗がりだった。 「昔っから、普通に自分女の子だと思ってて!少女漫画とか大好きでもーキュンキュンしまくってたんですよーー」 「へー。まあ俺も栗屋さんのこと女の子だと思ってましたけどね」 「あ、本当ですか?えへへ」 その言葉に嘘はないが、告白を断られた直後にこうしてさばけた話をするあたりはかなり男らしいと思ってしまう。 しかしそこが好ましいから余計なことは考えまい、と敬吾も目の前のアイスコーヒーに手を伸ばした。 「ずっとそういう恋に憧れてて。岩居さんはもう、ほんと王子様みたいでした」 「!」 咽る敬吾を見て栗屋は笑い、呼吸が落ち着き始めると敬吾も笑うしか無くなった。 「王子って!」 「いやほんとに!だってあんな出会いあります!!?」 「いやーうん、確かにね?」 苦笑いする敬吾を細めた瞳で見つめ、栗屋は幸せそうにため息をつく。 「すごく楽しかったです、自分が主人公になったみたいだった」 「……?」
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