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01個目「友達…?」
自室で友達の和仁と電話をする祐介。
祐介 どうしたんだ和仁、いきなり電話してきて。
和仁 あ、ああ、この声、祐介か?
祐介 そうだけど、自分でかけてきたんだろう。
和仁 そ、そうだったな、だ、誰でも良かったんだ。
祐介 なんだか、息が荒いぞ。
和仁 た、助けて、くれ、誰かに追われてるんだ。
祐介 なんだって。だったらうちに来い。
和仁 ああ、助かる。あと、汚れてるけど、いいかな。風呂も使わせてもらえたら嬉しいんだけど。
祐介 構わないさ、お前の身の安全が大事だろ。
和仁 お前に電話してよかった。
祐介 鍵は開けとくから、勝手に入ってくれ。先に風呂はいっとくわ。
和仁 ああ、さんきゅ、じゃあ後で。
プツ、ツーツー。
祐介 ストーカーか? 女癖の悪いやつだからな。
ガチャ。鍵を開けて風呂に入る祐介。
シャーーーー。
祐介 そういえばあいつ、どろどろって言ってたな。そんな逃げ回ってるのかな。
ガチャ。バタン。
祐介 お、和仁か、案外早かったな。走って巻いたのか。
シャーーーー。キュ、キュ。ガチャ。
祐介 和仁ー、無事だったかー? ったく、震えてんのか?
タオルで拭きながら半裸の祐介が部屋に入る。
祐介 あれ。
和仁はいない。
祐介 おかしいな。トイレか? 和仁ー?
トイレにも居ない。
祐介 ……靴ないじゃん。まさか、あいつ、うわどろっどろ。きたねぇなぁ、そりゃねぇだろぉ。
雑巾で床を拭く祐介。
祐介 あいつどこ行った。電話してみっか。
部屋に戻り携帯を持つ。和仁の電話番号を探し、かける。
プルルルルゥ、プルルルルゥ。
祐介 何してんだよ、早く出……出……
プルルルルゥ。プルルルルゥ。後ろのベッドの下から着信音が聞こえていた。
プルルルルゥ、プルルルルゥ。
祐介 え、なんで。
プルルルルゥ。プルルルルゥ。
ベッドの下を覗く祐介。
おしまい
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