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樹は、私に日記を差し出す。
私は震えた手で、日記を受け取り、ゆっくりと開いた。
『9月10日 宮本咲良と初めて話した。俺に気を使わない、初めての人』
一番最初の文に、私は目を見開く。
それから、全部私との思い出がかかれていた。
『4月9日 咲良と付き合うことになった。高校の桜の木の下で。』
「あ……」
『11月22日 咲良の理想のプロポーズを聞いた。桜の下で、リングを見せる。』
目頭が、熱くなるのを感じた。
「これからは、俺も支えていきたいんだ」
頬に、涙がつたう。
樹の言葉に、何度も強く頷けば、樹は嬉しそうに笑った。
私の大好きな笑顔で。
「樹……呼んで、名前。もういっかい」
樹は少しだけ照れ臭そうに、それでも、ハッキリと、私の名前を呼んだ。
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