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『俺と結婚してください』
つまらない、陳腐な言葉。
夜に放送されている、恋愛ドラマの最終回。
樹と二人で、ソファに並んでなんとなく見ていた。
「最近のドラマ、つまらないよねー」
「そうなの?」
「そうなの」
「ふーん」と言いながら、チャンネルを変える樹。
そんな樹の肩に、私は寄りかかる。
「樹、私、場所は桜の木の下がいいな」
「何の話?」
意地悪な笑みを見せる樹に、私も同じように笑う。
「きっと樹は悩むだろうと思ったから、先に教えておいてあげようかなって。
プロポーズ」
私がニッと歯を見せて笑うと、樹は苦笑いをこぼす。
「それ、俺に言う?」
「それでね、指輪をパカって見せて欲しい」
樹は笑って私の頭に、自分の頭を乗せる。
「覚えてたらね」
その言葉が、すごく嬉しくて。
思わず、翌日に樹の日記を見てしまった。
だけど、そのことは書かれてはなかった。
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