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「藤原……」
「はい?」
「俺はもう一ヶ所寄るところがあるから、お前は先に会社に戻れ。今日の報告書、忘れるなよ」
出来るだけ硬質な声音で言ってはみたが、微妙に語尾が震えている。
いきなり兆し始めてしまった下半身から集中力を欠くわけにはいかない。気を抜いたら治まるどころか、暴発しかねない。
「――分かりました。じゃあ、お先に失礼します」
「ああ……」
片手をあげて、颯爽と歩いていく美弦を見送った颯真は、そのまま近くにあったトイレに駆け込んだ。
一番奥にある個室に入り鍵を掛けると、ドアに背を押し付けて天井仰いだ。
(落ち着け……。落ち着け、俺っ!)
何度か深呼吸を繰り返してみるが、スラックスの生地を持ち上げている愚息の勢いはさらに増していく。
さすがに息苦しさを感じて、ベルトを緩め前を寛げると、ぶるんと音がしそうな勢いで長大なペ二スが飛び出した。
赤黒く充血し、大きく張ったカリには血管が浮き、先端からは透明な蜜が糸を引いて溢れていた。
「完勃ちかよ……」
常時でも常軌を逸した大きさを誇る颯真のペ二スは、久しぶりの刺激的な妄想で一気に膨張し、恐ろしいほどに勃ち上がっていた。
こうなったらもう、深呼吸だけでは治まらない事は所持者である颯真が一番よく分かっている。
約四ヶ月後にはメス化してしまうという現実を突きつけられ、しばらくは自慰も出来ないほど落ち込むだろうと思っていた不安は呆気なく解消された。
イケメンのエリート社員が、駅の連絡通路にあるトイレですることになるとは……。
「はぁ……」
ネクタイを緩めながら腹を括る。大きく零したため息が外に聞こえたのではないかと一瞬動きを止めたが、颯真は便座に腰掛けると、薄青色のドアをじっと見つめたまま、引きちぎったトイレットペーパーを愚息にそっと被せた。
そのまま上下に扱き上げながら目を閉じる。
クチュクチュと水音が聞こえてきたが、今は周囲のことなど構ってはいられない。
瞼の裏に映し出された美弦の横顔に息を荒らげながら、颯真は絶頂への階段を駆けあがっていった。
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