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見えないところで颯真をフォローし、今もこうやって助けてくれた男……。
彼にすべてを委ねようと決意した。これで断られたら、覚悟を決めよう……と。
そう思い立った颯真の行動は早かった。闇の帳が下り始めたネオン街の真ん中で、何気なく振り返った美弦の手を掴むと、側にいたアキに頭を下げて足早に歩き出した。
「主任? ちょっと、待って!」
「いいや。もう、待ったナシだ!」
目指すは駅前のシティホテル。もう颯真を止められる者はどこにもいない。
夜の風が美弦の髪をそよがせ、ソープの香りを漂わせる。
彼の手の温もり、気配、息遣いを近くで感じながら、颯真は最後の賭けに出た。
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