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子供達の心に残るかどうかは分からない。
しかし、
その物語を語り継いでいくことこそが――彼の役目だと思っていた。
勝手なことかもしれない。
もしくは、
『彼』がこの広い宇宙のどこかで見ているかもしれない。
しかし、
それでもおじいさんは今日も物語を語り継ぐ。
彼――フル・ヤタクミが繰り広げた、
英雄譚を。
「或いは、
そういう役目を持ってして生き残ったのかもしれないな……」
おじいさんは笑みを浮かべながら、
片付けを開始する。
「手伝いますよ。
おじいさん」
声が聞こえたのでそちらを向くと、
彼の孫が立っていた。
「おお。
済まないな、
シルバ。
いつも手伝いに来てくれて」
「いいんですよ。
それが……おじいさんの役目なら、
それを手伝うこともまた、
『勇者の仲間』の子孫たる僕の役目なんですから」
「……そうか。
ありがとうよ、
シルバ」
そうして、
二人で片付けを開始した。
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