2人が本棚に入れています
本棚に追加
浴室の上部にある小窓を少し開けると、たむろしていた湯気がすんすんと抜けていった。霧が晴れるように視界がよくなった。
かけ湯をし、湯船にとっぷり肩まで浸かると、ふぃーと大きくを息を吐く。一日の疲労と一緒に。
バスタブのふちにひじをかけ、背中をバスタブに預ける。そろそろだろうか。目を閉じ、どんな音も逃すまいと神経を集中させる。
やがてご機嫌なメロディが窓の外から流れこんできた。
午後九時をまわったころになると、決まって鼻歌がどこからか聞こえてくる。このことに気づいて以来、自分はすっかりこの鼻歌の主のファンになってしまったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!