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友梨は、海に向かって叫んでいた。
「昌也、今までありがとう!彼女とお幸せにね」
スマホの写真を削除した。
「さようなら、私の恋」
友梨と昌也は、友人の紹介で知り合った。お互いに第一印象で惹かれた。
「友梨、結婚しよう」
昌也はポケットに忍ばせてあった。婚約指輪を取りだし、友梨の左手薬指にはめた。
「嬉しい、大好きよ。昌也」
二人は喜びを分かち合った。それから、同棲生活が始まった。料理が苦手な友梨は、本を片手に一生懸命料理を作った。昌也は手料理を食べて友梨に感想を述べた。
「友梨、この料理初めて作ったの?」
「そうよ、まずかった?」
「うん、不味かった、ひどいなあ」
「えー、ごめんなさい」
「嘘だよ、うまかったよ」
「もう!」
昌也は笑って応える。
「ありがとう!必ず幸せにするから!」
そんな友梨に悲劇的な出来事が起きてしまう。
ある日の夜、昌也が風呂に入っていたとき、彼のスマホの着信が鳴った。友梨が出ると女性の声がした。
「もしもし、私よ、どうして最近会ってくれないのよ」
「あの、あなたは?」
「私は昌也の彼女です」
ショックを受けた友梨は、昌也に確かめてみた。
「ごめん、元カノなんだ、しつこくて復縁を迫られて困っているんだ。信じてくれ!」
「いや、やっぱりあなたを許せない」
家を飛び出してしまう友梨。二人はその後、別れた。
しかし、友梨は昌也のことが忘れられなかった。気持ちが落ち着いてから、部屋に荷物を取りに帰った。テーブルの上に手紙が置いてあった。
「友梨、すまなかった。君のこと、騙すつもりは、なかったんだ。元カノとは、もうきっぱり別れを告げました。君と寄りを戻したいと思っています」
手紙の上には四ツ葉のクローバーが載っていた。友梨は、手のひらに乗せて切なそうに見つめていた。
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