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プロローグ factor factorは思案する
二〇一六年五月十四日
禅(ゼン)
青春の終わる音がしていた。
個人的には気持ちの良い爆音で、人によっては、たぶんただの騒音。
地下一階のライブハウス。階段を降りると分厚い防音扉、バーカウンターを抜けて更に扉を潜ると、いつもバンドが演奏している。
今日は待ちに待った我らがfactor factorのワンマンライブ。チケットはもちろんソールドアウト。
事前にtwitterでも重大発表あり! なんて告知していた通り、一番盛り上がるタイミングでメジャーデビューを発表する段取りになっている。
俺はスタッフらしくいつものようにステージ袖で待機して、龍埜(タツヤ)さんが期待感を煽った末メジャー進出を口にした時に、お客さんたちが見せてくれるはずの、嬉しそうな顔をじっくり見るんだ。
知り合ったばかりの頃からかっこよかったけど、ある時を境に急にお客さんが増えだして、どんどん大きいライブハウスにも出れるようになったし、色々なフェスにだって呼んで貰えた。これから、チーム一丸となって更に頑張っていこうって約束したばかりだった。
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