Mislead~仔羊たちの沈黙~

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 皮肉どころか公爵は、かつて敵対する立場でありながら、身を投げ打って自分とリトを守ろうとしたクオーレにこの上もない恩情を与えたのだ。  愛するリトをこの先も共に守れ……と。 「フン、よほどの自信家かバカのどちらか……いや、両方か」  リトは時折、こうして人目を忍んでクオーレの部屋へやってくる。今夜のように公爵が地方へ出張の時は必ず。 「なぁに? バカしか聞こえなかった……あたしのこと?」  リトが半身だけ身体を起こし、唇を尖らせて覗き込んでくる。  いつまでたっても子供のような仕草や表情。  そのくせクオーレの胸の上で柔らかく潰れる乳房は、ナイトローブ越しでも妖しく匂い立つ。 「違う。自信家だけどバカ……それは、俺だろ」 「どうしてクオが……? ぁ……、んっ……」  抱き上げて、薄いローブの上から乳房をそっと揉みしだくと、リトの口から甘やかな吐息が漏れた。 「また……? クオ」  冷めない熱は、リト以外のどの女にも向けることが出来ない。それはもう何年も前から、今も、そしてこの先もずっと。 「リトを何度でも鳴かせる自信はある。でもしつこいと嫌われるかと毎回少しだけ躊躇(ためら)う……バカだろう?」 「……今、躊躇(ためら)ってるように見えないよ……? や……っ、待って……」
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