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温かくて柔らかいリトに、彼自身が包まれる瞬間。
その時ばかりは、いつも冷静沈着な彼の口からも押し殺した吐息が漏れる。
「あ……っ、クオ、愛してる……。もうずっと……!」
吸い込まれそうな緑瞳に涙を滲ませ、リトが切なげに呟く。
「俺もだ……永遠という言葉を、お前は知っているか……?」
たとえ主君の妻であっても。
たとえこの世で結ばれることはなくとも。
この真心だけは誰にも譲らない。
ただひたすらに、ひたむきに。この想いは生涯貫き通すだろう……。
「あ、あ、……ああっ! ん、クオーレ……」
止まらない律動、キスを交わしながら夢中で駆け上がる愛欲の坂。
(んぅ……っ、リト……! リト、愛してる……!!)
「はぁぁん! クオさまぁぁぁあ!」
「…………!?」
ピタリと動きを止め、彼は自分が組み敷いた女を改めて見下ろす。
(…………誰、だったか……?)
身体を起こし、黙ったまま彼女をクルッと裏返して今度は後ろから。
「え? ど、どうしましたか? え、あ、あ、ああっ……、こ、これもいいですけどー!?」
「いいなら良し。んぬぉぉお……!」
「きゃあああん! クオさまーー、すっきーー……!!」
……無駄に優しく扱ってしまった……。
──そんなこんなで、今日の彼の任務はこれにて終了。
月火水木金金土日。
色んなワケあり女性を相手取り、今夜も公爵家の為、ひいてはこの国の為に身を犠牲にして尽くす彼。
とは言え、元々こういうやり方で口封じや情報を引き出すのは彼の十八番ではあるのだが。
(でもこんな本音ドストレートな妄想で現実を見失うなんて。末期か……!?)
そう思わずにはいられないクオーレだった……。
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