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「姉さん、じゃあ俺は帰るから。また明日退院する時に来るよ」
「ああ、色々とすまなかったね。和佳奈、玄関まで見送って」
「いや、良いよ。そっちも積もる話があるだろうから。ずっと麻里子ちゃんが来てくれるの待ってただろ?和佳奈ちゃんにも会いたかっただろうから」
その言葉に祖母が慌てて「ちょっと、余計な事言うんじゃ無いよ」と口を挟める。
はははと笑いながら病室から出て行くその人に、祖母はまったく……と口内で言葉を呟く。
「お母さんの事……待ってたの?ずっと、会いたかったの?」
思わず言葉が出てしまった。
祖母は気まずそうに目を逸らした。
大人ぶってその言葉を心に留めても何も解決にはならない。
この際二人の膿を全て出し切ってスッキリさせてあげたかった。
「お母さんと、仲直りしたいって思ってたの?」
恐る恐る聞く。
祖母が居心地悪そうに眉間に皺を寄せながら目を伏せた。
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