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「おばあちゃんね、塩漬け作るのに桜の花を摘んでて脚立から落ちたんだって」
桜湯、と口の中で繰り返す。
「どうして、桜湯なんか……」
「あんた達、もうすぐ結婚記念日だろ?だから、お祝いに桜湯飲ませてやりたかったんだよ。お祝い事のお茶だって聞いたから」
母が目を見開く。
「母さん……。それって私達の事、敏夫さんとの事認めてくれるって事?」
祖母に問う母の声が微かに震えていた。
「ずっと前から認めていたさ……。ただ伝えてなかっただけで」
バツ悪く視線をあちこち落ち着かなく漂わせる祖母に、私は小さく笑った。
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