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「桜の木の下には死体が埋まっている」
そんな言葉を聞いた。どうして桜の木?どうして死体が?疑問はあるが、なんだか面白い言葉だと思った。
今はちょうど春だ。これはチャンスだと思った。…え?なんのチャンスかって?決まってるだろ。
「桜の木の下には死体が埋まっている」のか調べるチャンスだってことだよ。
そういう訳で俺は今、大きなスコップを持って桜の木の下にいる。近所の桜の中でもとりわけ死体が埋まっていそうな雰囲気がある桜を選んだつもりだ。
「におう、におうぞ!死体の匂いがする!」
実際は風邪気味で鼻は詰まってたし、匂いなんて全くしなかった訳だが、俺は興奮してそんな言葉を口走っていた。
早速掘り始めよう。そう思った瞬間、散歩に来ていた犬が俺の近くで吠え始めた。何かの匂いに反応して吠えているらしい。
これはもしかして、死体の匂いに反応して吠えているのでは…?
俄然やる気が出た。これは期待出来る。そう思った時、俺はあることに気が付いた。
この犬は桜の木の下の地面ではなく、俺自身の匂いに反応して吠えている。
「は?なんで俺…あっ」
そこで俺は全てを察した。
俺はついさっき焼肉を食べて来たのだ。きっと焼肉の匂いに反応して吠えているのだろう。もしそうでなければ、俺自身が何かしらの匂いを発しているということになる。それは絶対嫌だ。認めたくない。
そういうことで俺は焼肉のせいだと無理矢理決めつけることにした
何はともあれ、死体の匂いではなかったわけだ。俺は少しがっかりしたが、気を取り直して地面を掘り始めた。
しばらく掘り進めるとスコップが何か硬いものに当たった。
これはもしかして…骨か??
急いで掘ってみると、何やら古びた箱が現れた。骨ではなかった…が、俺はテンションが上がった。この箱には何が入っているのか。俺は心を落ち着かせ、箱を開けた。そこに入っていたのは
テスト用紙だった。しかも点数が全部非常に悪い。そして何よりも驚いたのは
名前欄に親父の名前があったってことだ。
たぶん親父が小さい頃に埋めたものだろう。俺は何も言わなかった。いや、言えなかった。
こうして俺の調査は終わった。桜の木の下には死体はなかった。一つ確かなことは親父はアホだったってことだけだ
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