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先生たちはボートの指導員と長い時間、相談。最終的に実施が決まった。
ボート走が始まった頃、急に風が強くなった。
何艘かのボートがバランスを失い、転覆しそうになった。
一応、引率の先生三人とボート指導員の乗ったボートが一緒に南岸に向かってた。フォローする役目だった。
あとで引率の責任者、丸山先生は弁解した。
「進学コース四十人の生徒、全員の様子を把握することは不可能だった」
じゃあ、こんなことしなければよかったんだ。無責任だ!
今でもそう思ってる。
七瀬先輩の乗ったボートは、渦に流されたようで、他の人のボートから離れてしまった。
そして運命の時。今まで以上に強い風が吹いた。
無気味な音が聞こえたって、生徒のひとりは語った。
あちこちで悲鳴が起こった。
七瀬先輩の乗ったボートは、風でバランスを失ったらしい。
あっというまに転覆。船底が水面に出た。
七瀬先輩の姿は消えていた。
当初、引率の先生たちは、七瀬先輩が運動神経抜群なので、すぐに浮かんで来るだろうと楽観視していた。
でもしばらく経っても、七瀬先輩が湖面から顔を出すことはなかった。
あわてた先生たちはあたりを捜索したが発見できず、警察に連絡を入れた。
ボートの転覆から三十分以上経っていた。
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