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サキ先輩、やさしい目で僕を見つめてた。でも僕、誰にも見られたくなかった。
「日下君の気持ち、よく分る。でもね・・・」
最後まで聞くことなんかできない。
「誰にも分る訳ないんです。サキ先輩にだって・・・」
下向いたままだった。サキ先輩の顏なんか見なかった・・・
「大切な人が亡くなるってこと、悲しいけどあり得ることだってくらい、分ってます、 病気で亡くなったんなら、お別れが迫ってるんだと見当もつくし、さよならの言葉だって言えます。
でも僕は七瀬先輩と、さよならも言わないで、いきなり別れたんです。
合宿の準備の関係で七瀬先輩とは十日ぐらい会ってなかった。もっと長かったように思う。
最後に会った時、七瀬先輩と、どんなこと話したかも覚えてないんです。
一生懸命、思い出そうとしたけど、全然浮かんでこない。
ずっとずっとこれからも話ができると思ってたからでしょう。
でも突然・・・
七瀬先輩と・・・
話ができなくなったんです・・・」
いつもと一緒だ。話してるうちに涙があふれて来る。先輩のこと思う時、話す時、最後は涙で終わる。
「怒ってもいい。無理な用事を言いつけてもいい。怒鳴ったっていいんだ。
十分でもいい。一分でもいい。いえ、たった三十秒でもいいんです。
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