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もう一度だけでいい。
七瀬先輩の声を聞いて・・・
僕も何か話して・・・
お別れの挨拶をして・・・
七瀬先輩との最後の会話を・・・
自分が生きている限り永遠に自分の心にとどめておきたいんです・・・
でもそんなこと、絶対に無理なんです・・・」
何度、同じことを考えたんだろう。考える度に、くやしくて悲しくて、これ以上、生きてたってしかたがないという気分になる。
「もう一度だけ・・・
少しの時間だけでいい・・・
七瀬先輩と話がしたい・・・
いろいろと試してみました。
でもだめでした」
「何かやってみたの?」
「霊能者と名乗ってる人たちを尋ねたんです。
ある霊能者は七瀬先輩の霊を呼び寄せたと言って、
『日下君。よく来たね。待ってたよ。ありがとう』
と僕に言いました。
七瀬先輩は、僕のこと、『健ちゃん』って呼ぶか、ふざけて『弟子一号』って呼んでました。
でもどの霊能者が呼び寄せた先輩の霊も、僕のこと、『健ちゃん』とは呼んでくれなかったんです。
七瀬先輩は、会ったって、きちんと挨拶なんかしてくれなかった。
会う度に、
『何しに来たの。君?』
とか、
『役に立たないから弟子一号は破門だ。離れて歩け』
『どなたでしたか』
とひどいこと言って、僕が困った顔したりしょんぼりしたりしてると、やっと僕の手をとってスタスタ歩き出すんです。
『しょうがないから今日は相手にしてやる。今日限りだから』
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