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サキ先輩の目を見てたら、自分がどんなに惨めで、どんなにだめな人間か言われてるみたいで・・・イヤになるんです。
だから・・・聞きたくありません」
もう一言付け加える。
「ごめんなさい」
サキ先輩の表情・・・
いつもと同じ・・・
優しかった・・・
「分っわ。じゃあね。私、目を閉じて話すから・・・君も閉じてていいよ。
だから少しだけ聞いてね」
サキ先輩は目を閉じた。
そんなにしてまで僕に話をしてくれる。
だけど・・・
「日下君がね。そんな風に何もできずにいるってことはね、七瀬がもう一度死ぬことになるんだよ。分かるかな」
サキ先輩ったら、まるで学校の先生みたいだった。
「七瀬は事故で亡くなった。君が七瀬に会えないように、七瀬だって君に会えない。
これは誰にも、どうにもならない現実なの。
それでも残された君が、いつまでも七瀬のことで苦しみ、何もせず抜け殻のような人生を送るならね。
七瀬にとって死ぬより辛いことなんだよ。
七瀬にだってどうすることもできないんだから・・・
よく聞いて。
七瀬にもどうにもできないことを君が望み続ける。
それは七瀬にとって・・・」
ここまでしか覚えていない。
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