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「七瀬先輩が二度死ぬことになる」
僕にとっては耐えられない言葉だった。
僕にとって・・・
七瀬先輩が一番大切だった。「大」がいくつついたって足りない。七瀬先輩と同じ大学に進学して一緒に作家をめざしてたって思う。
そしていつか・・・
そうだ。思い出した。
七瀬先輩の家にいる時だった。
七瀬先輩ったら「計画表」なんかつくって、僕に見せたことがあったんだ。
僕は十八歳で、自動車免許を取得する。そして一生、七瀬先輩の運転手を務めるなんて書いてあった。
「食事作るの面倒だから、君も料理学校通って、私以上に料理上手にならなければいけない。
できなければ、この計画表は廃棄し、役立たずの弟子は破門」
なんて言われた。
挙句の果て、
「まだ君は、試験採用の段階。役に立たないんなら採用取り消し、違約金を取る」
って脅されたんだ。
でも楽しかった。
七瀬先輩ったら、あんなひどいこと言いながら笑ってるんだもん。
最後は帰り道、僕にチョコレートパフェおごってくれた。
店を出てから、
「立て替えるだけだ。いつか三割の利息で返して」
って言われた。
「じゃあ、チョコレートパフェの大盛りで返します」
って言ったら、
「今でも気にしてるのに、ミニスカがはけなくなるじゃない。知ってて言ったな」
って追いかけられた。
でも、ふたりとも笑ってた。
一緒にいることが楽しくてならなかった。
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