プロローグ

6/6
前へ
/121ページ
次へ
 「シングルの人間はマジムカつく」  「日下が、『ドラ猫』の『カレ氏』じゃなきゃ、とっちめてやるのに」 って大不評だった。  副賞の賞状とパソコンだけど、七瀬先輩にパソコンを渡し、僕はタブレットを選んだ。   僕が先輩の家にパソコンを持ってったら、  「君が使いなよ」 って言われた。  でも僕、どうしても先輩に使って欲しかった。この時、ハッキリと自分の気持ちを先輩に伝えた。  「先輩のお陰なんです。今までありがとうございます。  このエッセー、先輩に捧げたいと思って書いたんです」  その時、七瀬先輩ったら、今まで見たこともないようなやさしい顔で僕を見つめた。  しっかり手を握ってくれた。  「『ずっと一緒に小説書いてこう』って言っても怒らない?」  「約束します!」  七瀬先輩ったらぼくの肩をハグしてくれた。その時、七瀬先輩の声は少し鼻声だった。  「私が生きてる限りね、健ちゃんが、私から離れること、絶対許さない。  裏切ったら契約違反で裁判だ」  この時の七瀬先輩の言葉。一字一句、心のレコーダーに記録されている。  そうするつもりだったんだ・・・  なのに七瀬先輩が・・・  僕から離れていったんだ・・・  僕、たったひとりになった・・・
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加