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校舎も違うから、学校で七瀬先輩の姿に会うこともなかった。
七瀬先輩からの電話もメールもなかった。こんなこと、初めてだった。
正直、寂しかった。でも忙しいんだと思って、こちらから連絡するのは我慢していた。 それでもやっぱり寂しかった。
合宿の前日の水曜日、七瀬先輩にメールを送った。
<一緒じゃないと悲しいです。また怒って下さい!逃げませんから!でも叩くのはイヤです!行ってらっしゃい>
返事はなかった。
進学コースの学習合宿は木曜から日曜までの三泊四日。
そして宿泊先に着いたばかりの木曜の午後。
七瀬先輩は、近くの湖で、伝統行事だからと何十年も続いてきた(この年で終わりになった)全員参加のボート走に参加した。
ひとりずつ一艘のボートに乗り、自分でオールを漕いで、一斉に西岸から南岸に向かう。
これが受験と、何の関係があるんだろう。
引率の先生だって説明できない。
こんなこと、やる必要なかったんだ。
この日は風が強く、湖面が大きく渦を描いていた。
「ボート走は中止になる」
そんな声も出ていた。
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