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ゆれる君に乗って
「おっはよー。新山さん」
私の目の前を栗毛色のふわふわな髪を揺らしながら、篠崎君が元気よく手を振って挨拶をする。
「おはよう。篠崎くん」
私もニッコリと笑って彼の挨拶に答える。
篠崎ケン君とは隣の席だからなのか、よく会話が弾む仲だ。
今日も朝から昨日見たテレビの話題とかなので、盛り上がっていた。
クラスメイトからは仲がいいから付き合いなよと言われることもあるけども、私にとって篠崎君とはどっちかというと打ち溶け合える友達的な感覚なのである。
きっとそれは彼も同じだろう。
「あれっ? そういえば新山さんちょっと顔色が悪いような気がするけど、大丈夫?」
「ちょっと今日は貧血気味なんだー。少しフラフラしちゃうけど、じっとしておけば大丈夫だよ。そういえばさ、この間話してた雑誌でさ……」
心配してもらうのも何か悪い気がして、私は話題をころっと変えるのであった。
昼休み。朝は少しフラフラしていただけの体調が、時間が経つに連れてだんだんと酷くなっていった。
「ううっ……薬を持ってくるべきだったかなぁ。保健室でちょっと休ませて貰おう」
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