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《Small society》
「シワが出来ないように付け直す際のセロテープは隙間なくしっかりと貼って下さい。申請書の方も折り目をただして、なるべくかさばらせないように。添付してある提出書類の向きや位置がおかしかったら、手で無理やり剥がすのではなく、ペーパーナイフなどを使って丁寧に取って貼り直して下さい」
管理長という肩書きを持ち、定めて二十代後半と窺える男。彼はくっきりとした二重瞼の快活な印象に違わず、長方形の木目調テーブルを挟んでパイプ椅子に腰掛ける勅使河原(てしがわら)裕三(ゆうぞう)に向かって、事細かながら仕事の指示を熱っぽく説いていた。
「はあ」
一方、勅使河原は気のない相槌を、水飲み鳥のように繰り返すのみ。
「それと今では個人情報の取り扱いもシビアになっていますので、ちゃんと一人一人が責任感を持ちながら仕事に取り組まないと、クライアント様から信用を得られないので、応募者の方々のプライバシーを詮索するような事は決してしないで下さい」
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