1人が本棚に入れています
本棚に追加
言葉と共にアームスを起動させた。全身に衝撃が走り、それを抑えようとする逆の衝動が、
痛みとなって全身を駆け巡る。両方の力が白狼の体でせめぎ合い、
今にも全身を砕かれそうだ。
だけど、ここで死ねない。死ぬわけにはいかない。絶対に諦めない。諦めるわけにはいかない。負けない、負けてたまるか。
「負けるもんかぁぁ!!」
狼としての本能を込めた咆哮が“何か”を繋げた。全身の痛みが暖かく強い力に変わる。
「上出来だ。白ちゃん。」
白狼の後ろから、ガンタイが嬉しそうな声を上げた…
「一気に突撃と行こうぜ!野郎共ぉ。」
ガンタイの一声と共に味方の本拠地となっている塔を目指し、重武装ヘリが飛び上がる。
地上を歩く同僚達はガンタイの部下達がヘリの入口に取り付けた
12.7ミリのドアガン(機銃)で蹴散らしていく。
取りこぼした敵は、地上に残った同人の仲間達が各自対処していくとの事だ。
ヘッドセットを装着し、あちこちに指示を送る彼女を見て、白狼は
思わず尋ねずにはいられない。
「最初から準備をしていたの?こうなる事を予測して。」
「勿論、全てこみこみだよぉ~。都内各所に怪人共を“殺せる装備を持った部下”を
配置している。正義サイドの連中も、何人かは既に確保しているし、
悪を完全撲滅とまではいかないけど、少なくとも負けにはならないよ。」
「そっか…なんていうか、ありがとう。礼を言うよ。」
自分は何も知らなかった。ただ、戦いに勝つ事だけを考えていた。その後に何が起こるかを考えもせずに…教えてくれたガンタイに感謝を示したつもりだ。
最初のコメントを投稿しよう!