1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ハイハイ、非常に素敵なシーンを見させて頂きましたぁ~。おかげで心のメモリーパック
容量一杯、だから、ここは“セーブ”という事でぇ~」
能天気な声と共に横から滑り込んだガンタイが、ガイストの腕にアームスと似た
デバイスを嵌めた。
「これは?」
驚いたような声を出すガイストの体から、急速に熱が引いていく。
白狼が泣き腫らした目を拭い、ガンタイを見上げる。
優しい表情の彼女がそこにいた。
「“退魔用”のアームス、これで、もう大丈夫。お涙頂戴、悲しいシチュって
あんまり好きじゃなくてね、俺。」…
戦いは終わった。町の瓦礫と破壊は凄まじいが、死者はごく僅かとの事。
早速の復興が始まっていく。ガイストと白狼は、塔の最上階から、その光景を眺めている。
「これからどうする?」との言葉はいらない。もう行く道は決まっていた。
後はその確認だけだけど…なかなか切り出せない。でも言わなくちゃ、今度は自分から。
「あの、ガイスト…」
意を決した表情で話す白狼。それを静かにガイストの手が遮る。
「わかっている。敵は変われど、我等に変わりなどない。共に行くぞ。白。」
「………うん!ありがとう、ガイスト。」
歓喜の涙をなんとか誤魔化し、笑顔を向ける白狼。居場所はあった。望んでいたモノ以上の
場所が。それに気付かせてくれた、ガンタイ達…?…その姿が見えない。さっきまでここに
いたのに…
「白、あれを!」
ガイストの声に振り向けば、先程乗ってきた、同人のヘリが飛び立っている。
走り、手を振る白狼に答えるように機体が
左右に揺れ、やがて小さくなり、空に消えた。
最初のコメントを投稿しよう!