1人が本棚に入れています
本棚に追加
爪を翻し、安全な後方を示す。怯えたように何度もこちらを見つめた彼等が走り出す。
その前にカマキリタイプの同僚が空中から降り立つ。
本来のカマキリを等身大に大きくした顔と顎を楽しそうに揺らし、こちらに話しかけてくる。
「キシシ、全く狼ちゃんは甘々でいけねぇ。殺し合いってのは、
こうしなくちゃいけないのよ~。」
「止せ!」
白狼の静止を聞かず、カマキリが1メートルはある、自身の両手の鎌を振り上げた。
人間達の悲鳴が上がる。くそっ、間に合わない。
「スピアレント!(技名)」
いらだつ白狼の杞憂は、凛とした女性の声と、カマキリの胸に刺さった光の槍によって
解消した。青いボディースーツに身を包み、光るを槍を携えた少女が、カマキリの後方から
現れる。
「凄い“ガールズランス”だ!やった!やったぞ!」
「皆さん、もう大丈夫です。早く非難を。」
人々の歓喜を受け、片腕を上げる彼女。そのままこちらに進んでくるのを見て、白狼は
“通常じゃない敵”の登場に少し興奮し、頬を紅潮させた…
この戦いが始まったのは、いつの時代からか?突き出される槍を躱し、こちらの爪撃を
繰り出しながら、白狼は思う。答えは簡単か…闇と光が存在した時から、あらゆる場所、
時代を経て、戦いは続いてきたのだ。
闇となる勢力は、呪法や魔術、最新のテクノロジーをふんだんに盛り込んだ組織を形成し、
テロ、戦争、犯罪といったあらゆる“悪”に関わり、世界と光の正しい存在達の転覆を
画策する。
それに対し光は、いくつもの神秘、奇跡に魔法、そして希望と、正義の心とやらを胸に、
何度も世界滅亡の危機を乗り越えてきた。
(だが、それも今日までの話だ。)
絵本やメディアを通して語られる戦いは“正義”が勝つ。
しかし、実際そう上手くはいかない…
最初のコメントを投稿しよう!