白狼無知で反逆戦線

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「いやぁ、助けてぇっ。」 後方に避難した市民達から悲鳴が上がる。その声にガールズランスは反応し、慌てて こちらに背を向け、走りだす。本来なら、戦いの最中に背を向けるなど考えられない事だ。 だが、彼女達にはそれが出来ない。人々を守る、戦う正義の味方は、制約が多すぎる。 比べて悪にはそれがない。壊したいだけ、壊し、殺したいだけ、殺す。 欲望の赴くままに動く。全てが自由だ。 戦いの勝敗は誰が見ても、明らかだ。 「でも、こっちが勝った事がないから、アイツ等は凄いよな…」 ボディラインがハッキリわかるスーツの彼女を見つめ、白狼は呟く。それが合図のように、 ビルの一部が壊れ、マントを羽織った筋肉質の男性が現れ、叫ぶ。 「ランス、皆は私に任せて、君は怪人達を倒せ。」 「ありがとう。マンオブジャスティス!」 返答を返した彼女がこちらに振り向き、戦闘を再開してくる。タイミングの良すぎる登場だ。 示し合わせた訳ではない。 あの男だって、町の中で人々を救うために走り回り、たまたまここに駆け付ける事が出来たのだろう。この“たまたま”が彼等にはあるのだ。希望か、奇跡かはわからない。恐らく 正しい事をしようとする者にのみ、与えられる特権であろう。 これに悪は何度も破れ、いつも、世界はすんでの所で滅亡を免れているのだ。 (だが、今回は違う。) 本日2度目の感慨を抱く白狼は、ランスの槍を両の爪で受け止め、投げ飛ばす。 ギリギリまで体を近づけてわかったが、スーツのあちこちから、 肌が露出し、満身創痍のご様子だ。 まぁ、市街のほとんどに白狼の同僚である“悪”が展開し、火災に倒壊の最終戦争ばりの 光景を作り出せていれば、どういう事が起こったかはわかるだろう。今からそれを再度 お披露目と行こう。
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