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「何をやっている?」
ハサミに挟んだ“人の頭”を頬張るカニ頭の同僚に、白狼は怒りを露わにした。
傍では人間達が地べたに、犬のように這いつくばり、殺される時を待っている。
彼等の傍には闘争防止の監視役として、トカゲ頭とコウモリ頭の姿もあった。
「よう、狼の兄ちゃん、見りゃわかるだろ?奴隷共の躾さ。これから誰が飼い主になるか、
見せしめも兼ねて、教えてやってんのさ。」
「その人間共は、僕達が生きるためにも、必要だろ?そんな事もわからないのか?」
「わかってるよ。よーくわかってる。だけど、この世界に何人、人間がいると思ってんだよ?
たくさんだ。少しは間引いたって問題ない。俺達の中には人喰いもいるからよ。」
「改造人間風情が!お前等のエネルギー源は人食じゃなくても、問題ないように
出来ていると聞いたぞ?妖魔の連中なら、いざ知らず、
只の殺人衝動に駆られた殺戮など、断じて許さない。」
頬を真っ赤にして怒る白狼に、同僚達が“やれやれ”と言った風に肩を竦める。
カニ頭がボソッと呟く。
「西洋騎士の飼い犬風情が調子づきやがって…」
「何だとっ!?」
「ハイハイ、そこまでー、それくらいにしときましょうや。」
呑気な声と一緒に消音銃の低音が連続して響き、同僚達の頭が砕け散っていく。
改造人間達、白狼にも通常弾は効かない筈…それが効いている。どうゆう事?
自身の爪を出すタイミングを逃した白狼の目の前に、
消音装置付き突撃銃を構えたガスマスクの兵士達が現れていく。
半分潰されかかったカニ頭がハサミを“降参”のように上げるが、武装集団の最後に立った金髪頭+ベレー帽の少女がハサミごと全てを吹き飛ばす。
「カニ道楽が、調子のんな。」
そうやって笑い、こちらを振り向いた少女こそ、普通の人間でありながら、闇側につき、
白狼達にアームスをもたらした張本人、片目眼帯がトレードマーク、名前(偽名)も
そのまんまの“ガンタイ”だった…
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