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「何となくですが、そこにアーロンさんがいるような気がします。もしかしたら神具を持っているかもしれませんし、他の手を知っているかもしれません。行ってみる価値があると思うんです。ヨウム、道案内してくれ!」
「オーケー!」
ヨウムが珍しく気のいい返事をしてくれたので、すこし緊張が緩む。
「俺が奴の目を引き付ける。2人で再封印に向かってください」
ハーディングは1人足を止め、手に眩い光を灯した。その光でタローンの気を引く気なのだろう。
「そんな! 貴方を置いて行けるわけないじゃない! いっしょに……、きゃぁ!」
――ゴゴォォォォ!!
すぐ後ろが激しく燃え上がった。
タローンがまたブレスを吐いたのだ。
燃えた木の枝がバラバラと落ちる。
ジャック達の後方が火の海になっていた。
(あのブレス……、距離が長すぎる!)
何発も吐かれたら、いずれあのブレスを食らうだろう。
「2人共、早く行ってください。俺が食い止めます」
ハーディングの殺気だった面構えを見て、ジャックも覚悟を決めた。
「コーネリア様、ヨウムと一緒に行ってもらえませんか? 俺もハーディングさんとここに残ります。再封印をお願いします!」
(俺もここまでの魔獣との戦いで、それなりの力がついたはずだ……。どれだけ出来るのか、試してみたい)
コーネリアの顔が引き締まった。
「分かったわ! もしお父様がいなくて、手が見つからなかったら、すぐに戻って加勢する……。だからそれまで生きてて……!」
「イクゾ!」
コーネリアは先導するヨウムを追い、走り出す。
ハーディングの命を心配し、共にありたいと思っていたのかもしれないが、ジャックに任せてみようと思ったのかもしれない。
――ゴゥン……ゴゥン……
足音と共に、機械じみた音が近づいてくる。
「気を抜くなよ、ジャック」
「分かってます……」
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