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ここまで来たルートは火事になっており、戻れる様な状態ではない。
「下がっていろ」
ハーディングが右手を上げると、上空に巨大な古代文字が浮かび上がった。
水色に輝くそれは、グルリと光の輪になり、強く光を発した。
青空の中、ここだけに黒い雲が発生する。
――ザァァア……
雲はバケツをひっくり返したような雨を降らせた。
「なるほど、炎を鎮火させるんですね」
「これで歩き道に危険は無くなるだろう」
森を燃やす炎は徐々に収まり、小道を進んでいけそうだ。
2人で来た道を戻る。
――ズゥゥゥン!!
30m程離れて、タローンの姿が見えた。
巨人は、人間と称するにはややシンプルな造形の青銅色の身体をしている。
顔のノッペリ具合などもあり、間抜けなルックスだ。
タローンはジャック達2人を見つけると、歩みを止め、周囲の木々を腕で薙ぎ払った。
簡単に吹き飛ぶ木々を見ながら、ジャックは眉根を寄せる。
(何て力だ……。巨木をいとも容易く飛ばせるのか。それに身体を構成するのは金属か? 真正面から突っ込んだらまずそうだな……)
ジャックは神獣について無知だ。
どうしたもんかとタローンを見つめたまま、考えるうちに、奴はドンドン近寄って来る。
こちらに意識を向けさせておけば、コーネリアに危害は加えられないだろうが、このままではまずいだろう。
「ハーディングさん。奴を倒そうと考えてます?」
「全力でいかせてもらう。コーネリア様の封印に期待、と言いたいが、そもそも可能なのかすら不明なのだからな」
「そうですよね。では俺もそのつもりで、向かいます」
――ドゥン……ドゥン……ギギギィ
タローンはすぐそばまで迫っていた。
(改めてみると……半端なく巨大だな)
人に近い姿をしているからか、タローンの姿がやたら不気味に見える。
ジャックはエクスカリバーを正眼に構えた。
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