10章

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「地面に引き倒しませんか? 急所がどこなのか、それから探りましょう」 「了解だ。俺の魔術で奴の足を止める」  ハーディングは右手に白い光を宿すと、それをタローンに向けた。  奴の足元に白い輪が現れ、一瞬にして現れた氷が両足を凍らせた。 ――グォォオオオオ!!!  森にタローンの雄叫びが響き渡った。 「俺は右に行く。ジャックは左へ。同時に足を打ちち払うぞ。打ち込む直前に氷を消す!」 「分かりました!」  2人でタローンに向かって走る。  巨木の幹の様な足は見事なまでに凍り付いている……ハズだった。  ジャックた辿り着く前にタローンの足は突如として赤く染まり、みるみるうちに足を固定していた氷が解け始めたのだ。 (な!? 高温になっているのか!?)  タローンの足は自由になり、足元に走って来た2人を蹴り飛ばそうとしてくる。  あの丸太の様に太い足に蹴られたら、骨折してもおかしくはない。 「自分で身体表面の温度を操る事が出来るのか……、とんでもないな……」 「あの足の色が青銅に戻ったら、もう一度チャレンジするぞ。今は後退しよう!」 「はい!」  タローンしを機敏に避けながら後退していく2人に苛立ちを募らせたのか、もう1度野太い雄叫びを上げた。  何かを仕掛けてきそうな気配がして、ジャックがタローンの方を確認すると、両腕を胸の前で組み合わせ、ブルブルと震えている。 (何やってんだアイツ……)  タローンの胸が光出す。 「ジャック! 後ろに下がれ!」  タローンは胸から何かを引き抜き、それを力任せにジャックに振り下ろした。 ――ギィィィイイイイン!!
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