10章

39/47
前へ
/454ページ
次へ
 咄嗟に構えたエクスカリバーが食い止めたのは、巨大な斧だった――刃の長さはジャックの身長を優に超える。 「武器を使えるのか……!」 「ぐ……うっ……、の……ようですね……」  とんでもない重さだった。  巨大な斧の重さにタローン自体の腕力と、振り下ろされるエネルギーの衝撃を受け、腕がどうにかなりそうな程の痛みを感じ、喋る事すらままならない。  肩や腕、背中の筋肉や節々が悲鳴を上げ、このままの状態でいると、身体がイカれてしまいそうだった。潰されずに済んでいるのはエクスカリバーの力によるものなのだろうが、それでもジャックの身体が耐えきれない。 (まだ鍛え足りないって言うのかよ……!)  ギリリと加えられる力に、一瞬の隙が生まれる。  ジャックはそれを見逃さず、渾身の力で斧を打ち返すと、後方に下がった。  腕や肩が、重みから解放されてもなお痛みが引かない。 (あんな斧にどうやって対処すれば……!)  ハーディングを見れば、彼の周囲には、魔術による古代文字が浮かんでいた。  さっきは彼が攻撃で巨人の注意を引いてくれたのかもしれない。 ――何故……だ…… (え?)  頭に直接響くような声が聞こえた気がして、周囲を見渡す。 「俺の魔術を食らいな」    ハーディングによるものかと思ったが、彼の意識は魔術に向いている。  頭上に巨大なプラズマの塊を作ると、いくつもの矢の様なものがそこから、タローンに向かい発射される。  タローンはコバエを払うようにプラズマの矢を振り落とす。 「くっそ! 効かないのか! もっときついやつをお見舞いしてやらないといけないらしいな!」 ――キサ……マ……何故その剣を……  ハーディングの攻撃魔術をもろともせず、タローンは間の抜けた顔でジャックを見つめる。 (アイツが俺に語り掛けてるのか?)
/454ページ

最初のコメントを投稿しよう!

144人が本棚に入れています
本棚に追加