10章

42/47
前へ
/454ページ
次へ
 2人の会話が終わるのを待つわけもなく、ジャックに対して斧が振り下ろされる。  それを危なっかしく避ける。  地面にめり込んだ斧をタローンは易々と抜き取り、ブンッと空気を切り裂く思い音とともに、斜めに振られるので、身を低くする事で躱す。 (奴の足元に潜りこめないか……?)  ジャックはタローンと斧の動きのパターンを観察する。  再びとんでもないスピードで振られた斧を転がるように避け、そのまま足元にダッシュした。 「食らえ!」  ありったけの力を込めてタローンの足にエクスカリバーを叩きつける。 ――グゥゥ……!  タローンの身体がわずかに揺れる。  奴の赤く染まった足は、冷気を帯びたエクスカリバーを打ち込まれた部分だけ青銅色に戻り、細い溝が刻まれた。 (効いてるみたいだ!)  ちょっとした手ごたえに後押しされ、続け様にもう1撃打ち込む。 ――小賢しい真似を!  タローンに確実にダメージを食らわせている事に考えがいきすぎ、ジャックは頭上への注意を疎かにしてしまった。 「ジャック! 避けろ!」  ハーディングの怒鳴り声を聞き、咄嗟に横に転がると、今までいた所に斧の刃が縦に突き刺さった。  体制を崩したジャックの身体は、容赦なくタローンに蹴り飛ばされる。 「ぐあぁ……!」  足や胸に激痛が走る。 (半端なく痛てぇ……。これ、骨が折れたんじゃ?)  あまりの痛みに逃げる事も出来ず、タローンに胴を掴まれ、そのまま巨人の顔の位置まで持ち上げられる。
/454ページ

最初のコメントを投稿しよう!

144人が本棚に入れています
本棚に追加