10章

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「ジャック!!」 ――エクスカリバーは王に返してもらう。石ころはどうした? 「……だから、石ころって何なんだよ……、ゲホッ」  呼吸もままならない状態の中、ジャックはタローンに問いかけた。 ――鞘の石だ。青く光る……返せ。  『光る石』  その言葉にハッとした。 「シエル……」 (コイツが言っているのは、シエルにあげた石の事か!)  思わず名前を呟いてしまった事に後悔する。  知られたら、ターゲットがそちらに向く可能性がある事に思い至ったのだ。 ――シエル……その人物が持つのか。お前を殺し、その人物も殺す……。 「させるわけないだろ! お前はここで俺に倒される!」  ジャックは口から血を流しながら、タローンを睨んだ。 ――笑わせるな!  時代が違う事から、タローンの脅威はシエルには及ばないと考えるのが普通だ。  だが、1400年経ってもターゲットであり続けたらどうだろうか?   相手は神獣、常識で考えていい相手ではない気がした。 (あの子を危険に晒すわけにはいかない……)  心の中に、ふわふわとした金髪の少女の姿を思い浮かべた。  大人を舐めたような態度なのに、時々素直で。  芯が強いのに、弱さを見せられた。  女が苦手になっていた自分の価値観を変えた。  時々ふと湧いて来る感情に目を向けない様にしていた。  それ自体が答えなのかもしれない。 (手出しさせるかよ!)  エクスカリバーは強く青い光を発した。
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