144人が本棚に入れています
本棚に追加
「ジャック!!」
――エクスカリバーは王に返してもらう。石ころはどうした?
「……だから、石ころって何なんだよ……、ゲホッ」
呼吸もままならない状態の中、ジャックはタローンに問いかけた。
――鞘の石だ。青く光る……返せ。
『光る石』
その言葉にハッとした。
「シエル……」
(コイツが言っているのは、シエルにあげた石の事か!)
思わず名前を呟いてしまった事に後悔する。
知られたら、ターゲットがそちらに向く可能性がある事に思い至ったのだ。
――シエル……その人物が持つのか。お前を殺し、その人物も殺す……。
「させるわけないだろ! お前はここで俺に倒される!」
ジャックは口から血を流しながら、タローンを睨んだ。
――笑わせるな!
時代が違う事から、タローンの脅威はシエルには及ばないと考えるのが普通だ。
だが、1400年経ってもターゲットであり続けたらどうだろうか?
相手は神獣、常識で考えていい相手ではない気がした。
(あの子を危険に晒すわけにはいかない……)
心の中に、ふわふわとした金髪の少女の姿を思い浮かべた。
大人を舐めたような態度なのに、時々素直で。
芯が強いのに、弱さを見せられた。
女が苦手になっていた自分の価値観を変えた。
時々ふと湧いて来る感情に目を向けない様にしていた。
それ自体が答えなのかもしれない。
(手出しさせるかよ!)
エクスカリバーは強く青い光を発した。
最初のコメントを投稿しよう!