10章

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(何だこの光は……?)  身体の酷い痛みが嘘の様に消えていく。  違和感があった骨も元通りの感覚になった。 (これ、ハーディングさんが? でもなんか違うような……)  魔術を使えるハーディングが回復させているのだと考えるのが自然なのに、ジャックの勘がどういうわけか、この癒しがエクスカリバーに関連するだろうと告げている。  手に持つエクスカリバーから、大きなエネルギーが発せられ、体内に満ちてゆくような感覚だ。 (今なら、何でも出来るんじゃないか? って、んなわけないけど)  謎の万能感に戸惑い、自分で抑え込まないと暴走を始めそうでもある。 ――貴様……まさか?  間近で聞こえるタローンの声にハッと我に返る。 (そうだ、今はこの状況を何とかしないとな)  ジャックは頭の内でタローンを跳ね飛ばすイメージをした。  すると、目に見えない何かに吹き飛ばされる様に、タローンの身体が大きく後ろに傾いだ。 ――ぐおぉ……!  緩んだ手からジャックは身体が解放される。  どういうわけか、放り出された身体は地面に落下せず、空中に留まる事が出来ている。 (今の力は……? 何で俺、下に落ちないでいられるんだ?) 「ジャック! 何が起きてる!?」 「全く分かりません!」  エクスカリバーのお陰だろうとは思うものの、ハーディングにその事をうまく伝える自信がない。正直言って、自分でさえも頭がおかしくなって幻覚でも見ているのかと思うくらいなのだ。 ――ふむ、エクスカリバーの力を引き出せつつあるのか。……貴様もしや、アーロンの子孫か? (俺が古代王の子孫? そんな馬鹿な!) 「赤の他人だ!」 ――ならばここで力を試してやろう! 我を倒してみよ! さすればこのタローンの力、お前に託そうではないか! (なんっだそれ! 力なんかいらないから!)    
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