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祖母の部屋から結界についてまとめられているノートを見つけ出し、描いてあった地図を頼りにシエルは呪印を調べて回る。
「12ある呪印のうち11は活性化できた。後もう1つね」
最後の一つを活性化したら結界は復活するはずだ。
祖母のノートの地図のうち、チェックを付けられなかったのは残り1つだけだ。
森の様子がいつもとまるで違っている。
木々が不安を伝えるように騒めき続けているのだ。
「マーシャルさん達、大丈夫かな……」
出発してから一度もマーシャルとは会わなかった。
マーシャルは優秀な魔術師だと祖母から聞いていたが、どのような魔獣と遭遇しているのか想像もつかないため心配になる。
暫く山道を進むとシエルの背丈程の岩が見えてきた。
地図のメモ書きによれば、岩のどこかに呪印が刻まれているようだ。
目的場所についた事で一瞬気が抜けかけるが、ここからが本番だ。
岩へ駆け寄り確認する。
呪印は古代文字と山羊の絵を組み合わせた文様なのだが、夕暮れ時というやや悪条件が重なり、くまなく探しているのにどこに呪印があるのか見えない。
場所が違うのだろうか?
シエルは落胆しかけたが、祖母の地図に間違えはないはずだし、自分も正しく道を進んできたはずだと、もう1度目を凝らして確認する。
シエルの膝のあたりの岩の表面に人為的に書かれたような曲線があった。
「あった!」
文字のようなものと、山羊のとがった角のようなものがうっすらと見える。
この辺りは森の南に位置し、工業地帯に比較的近い。工場から排出された煙が酸の雨となり石灰を多く含む岩を溶かしたのかもしれない。
シエルは一つため息をつくと、草むらに荷物を降ろした。
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