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事実、自分の成人のあかつきには離婚をする、と随分前に決めて、そのために着々と準備を進めてきた人なのだ。
「それはどうかは私にはわからないけれど、間違いなく、あなただったと思うわよ」
小さくて、自分を頼らなくては生きてはいけない存在(もの)。
「嬉しかったと思うわ。頼られる存在ができて」
婦人の言葉を聞いた瞬間。思い出したのは、父の笑顔だった。
迷子になった自分を、『どうした、友朗。父さんは、ここにいるぞ』そう言って笑って抱き上げてくれた、笑顔。
「私は・・・・・・もう、小さい子どもではありません」
呆然としながら、自分は言った。
半ば、呟きに近いものだったのかもしれない。
「もちろんよ。子どもだって成長するものだし、場合によっては親を越えて行くわ」
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