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「そんな人の息子だよ? どの面下げて来たんだか。しかも、遺骨持参で」
「持て余していたんでしょ、その『遺骨』を。もしかしたら、引き取ってくれることを期待していたのかもしれないわね」
「はいいい!?」
姪は、婦人の言葉に驚きの声を上げた。
「それこそ、どの面下げてってことじゃない! それをきっかけに、こっちを当てにされてちゃ困るんですけど!」
「それは、あなたにも言えることよ」
けれど、婦人は姪の言葉に、きっちりと断りを入れた。
「ここでは、私は『おばちゃん』ではないわ。『理事長』よ」
この姪が、密かに自分がこの法人を継ぐ立場になることを期待していることは、察していた。けれど、もちろんそんな気はない。
婦人は、別にこの法人を自分の身内に継がせる気はなかった。
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