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その骨壺を見て、婦人は遠慮なく言い放ってくれた。
その言葉に、自分はどう反応して良いのか、わからなくなる。
「あら、ごめんなさい。でも、この人、私よりも身長低かったの。二センチぐらいだけど。私はあまり気にしていなかったけど、この人は内心とても気にしていたみたいだから、ハイヒールとかはかないようにしていたのよ」
からからからと陽気に笑う姿は、本当にパワフルだった。
「けっこう不養生していたみたいで、病気がわかった時は、もう手遅れだったそうです」
「そう……」
自分の言った言葉は、完全に「伝聞」だった。
自分がそのことを知ったのは、父の死後、病院から連絡が来たせいだった。
父が緊急の連絡先に、自分の携帯番号を記入していたおかげで父の「死」は、辛うじて知ることはできた。
けれど、離婚して以後、生前の父に会うことはなかった。
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